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Oct 06, 2004

大和市が16歳以上に住民投票権

 神奈川県大和市で、16歳以上の市民に住民投票の請求権と投票権を認める自治基本条例案を可決した。16歳以上に常に住民投票権を与えた条例は全国で初めて(18歳以上に与えた事例はあり)。
 16歳以上に認めた理由としては、「女性は結婚できる年齢。既に働いている人もいる。早く社会に参加してもらい、市民としての自覚を促すことにつながる」としている。
 なお、この自治基本条例とは、自治体運営の基本理念をまとめたもので、自治体の憲法ともいわれるもの。

 ここで、16歳以上に選挙権及び投票権を与えることの是非を検討してみたい。
 以下は、ある答練で私が書いた答案の一部である。一応、合格答案といわれたので、的は得ていると思う。

i)条例で地方議会の議員及び長の選挙権を年齢満16年以上の者に対して付与することについて

 これについては、公職選挙法9条2項で年齢満20年以上と規定されているため、憲法94条の「法律の範囲内で条例を制定することができる」という規定に反するのではないかという点で問題となる。
 この点、国の法令が明示または黙示に先占している事項については、法律の明示的な委任がない限り条例を制定し得ないとする説がある(法律先占説)。しかし、国が法律によって地方の事務を国の事務として取り扱うことができるとの考えに立脚しているのは疑問であるし、そもそも全てを一様に処理するのは形式的すぎて妥当ではない。
 思うに、憲法94条の条例制定権は、地方における特殊な事情を考慮することを可能にすることにより、地方自治を実現することがその趣旨であると解する。ならば、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決すべきである。
 例えば、a)特定事項についてこれを規制する法律規定がない場合、当該法律全体から見て当該事項について規制すべきでないと解されるときは、この事項を規制する条例を制定することは法律に違反することになりうるし、b-1)逆に特定事項について法律と条令が併存する場合であっても、条例が法律とは別の目的で規定されたものであり、それによって法律の目的を阻害しないときや、b-2)両者が同じ目的で規定されたものであっても、法律が全国一律に同一内容の規制を施す趣旨でないものであるときは、その条例は法律に反しないと解すべきである。
 本問「地方議会議員及び長の選挙権」に関する法律の年齢制限規定は、憲法15条に「成年者による普通選挙」との規定があり、これによって公職選挙法が民法3条の「満二十歳ヲ以テ成年トス」に則り年齢満20年以上と定めたものである。とすると、年齢制限規定は判断能力の有無を担保し、且つ画一的に規定するためのものであり、一様の年齢を定め満20歳以上であれば社会通念上判断能力があるものとの考えから定められたものと解する。以下、法律と条例の目的が同一である場合と別である場合に分けて検討する。
 条例の目的が法律と別の目的であった場合、満16年以上という年齢制限では、社会通念上判断能力があるとの認識は確固たるものではなく、法律の目的を阻害しないとは言い切れない。よって、法律に反すると解する。
 また、条例の目的が法律と同様であった場合であるが、法律の年齢制限規定は画一的な線引きを行うためのものであり、全国一律に同一内容の規制を施す趣旨でないとは判断できない。よって、法律に反すると解する。
 以上より、条例によって地方議会の議員及び長の選挙権を年齢満16年以上の者に対して付与することは、法律に違反し違憲である。

ⅱ)条例で地方公共団体における住民投票の投票権を年齢16年以上の者に対して付与することについて

 これについては、住民投票の投票権に関する年齢制限の規定が明文規定にないため、法令の規制対象以外の事項について規制を行う「横出し条例」が、法律の範囲内か否かが問題となる。
 本問は、前述した違法とならない3パターンのうち、a)に該当する可能性がある。
 思うに、住民投票は地域住民の意見を地方政治に反映しようとする手段であり、より多くの住民の意見を吸い上げる必要がある。更に、この住民投票には法的拘束力が無く、判断能力を担保する必要性は低いものであると解する。また、住民投票についてこれを明文で規定しなかったことが、当該事項について如何なる規定もすべきでないとの趣旨であるとは考えにくい。
 以上より、条例で地方公共団体における住民投票の投票権を年齢16年以上の者に対して付与することは、法律に反せず、合憲である。



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Comments

えええええッ!?
そうだったんですか!?
知らなかった・・・。

実は私、大和市民なんです(笑)。
みやっちさんのブログにお邪魔したら、「大和市が~」とあったので、ビックリしてしまいました。

そうそう。
みやっちさんは、シ-パラなんですね。
シーパラ、かなり昔の話ですが、行ったことがあります。
神奈川県民の私でも、結構、遠かったイメージが・・・。

あと、私は六本木ではなく、地味ーに横浜校舎で学ぶことになりそうです(笑)。家からも近いし。
でも、母校が受かったら、母校に行くと思います。
学部時代のゼミのとても尊敬している教授が、現在、ローで副院長に就任されているため、また、学びたいなぁと。

結果はどうあれ、最後まで悔いのないよう頑張ってきます。

Posted by: naoself | Oct 06, 2004 at 09:25 PM

そうらしいんです。
なんか、16歳から住民投票できるらしいです。
大和市民なんですか。
お使いの路線は小田急ですか?相鉄ですか?
私は毎日小田急乗ってます。

シーパラ。
私は生まれてから大学2年生まで、
神奈川県に住んでいましたが、
実はまだ一度も行ったことがありません。
友達に行こうって言っても、
「高いからヤダと」言われてしまって・・・。
一人で行くのは嫌だし。
あー、彼女つれてきゃいいのか。

横浜校舎。
高校と同じところにあるんですよね?
受けようとしてたくせにあんまり詳しく知らないですが(汗

母校。
そうですか。私は今年はムリです(謎
お世話になった先生の大学院はすべて落とされてしまったので、
もうこだわりはありません。
まあ、学費が安いので国立に行ければいいかなと。

Posted by: みやっち | Oct 07, 2004 at 12:37 AM

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